開催のきっかけ
つくしは今回が初めての主催でしたので、ご報告させていただきます!
ご本人様は病気の影響で四肢が拘縮し、普段はベッド上で過ごされており、発語も困難な状態の方です。
食事のときだけ車椅子を使用するのですが、その移乗や介助を一人で担っているのは奥様です。介護負担は想像以上に大きく、訪問するスタッフの多くが「奥様の身体の方が心配」と口にするほど。
実際、将来的には施設入所も検討した方がいいのでは、という話も出ていました。私自身も担当看護師として、「奥様の負担が減るなら、それも仕方ないか…」と思っていました。
そんなある日の訪問で、奥様が私にこう話してくれました。
「私も大変です。でも、大変でもいいから、自宅で少しでも長く二人で過ごしたいんです。 」
その一言に、私は強く心を動かされたのと同時に、「ご本人とご家族の本当の思いを、もっと 丁寧に聞かなければ」とも感じました。
奥様の思いを少しでも実現するためには、二人に関わる多職種が「夫婦の思い」を共通の目標として、一緒に支えていく体制が必要だと感じました。
そこで管理者に相談したところ、ACPカンファレンスの開催を提案され実施に至りました。
カンファレンスでは、ご本人とご家族の希望を「わたしノート」を使用し、あらかじめ思いを抽出させ、「どうすれば自宅で安心して暮らし続けられるか」をテーマに、多職種で意見を出し合うことができました。
カンファレンスを終えて思ったこと
ACPカンファレンスは、普段行う担当者会議とは少し趣旨が違います。ここでは、利用者さんやご家族の「思いや価値観」を多職種で共有すると共に、普段はなかなか表に出ない隠れた思いや本心を引き出す場でもあります。
その思いを基に、これからの人生についてみんなで意見を出し合い、その意見と本人の思いをしっかり擦り合わせていくことが、この会議の醍醐味だと感じました。
また、この会議では必ず結論や具体的な対策を決める必要はありません。
大切なのは、本人・家族の気持ちを多職種で理解し合い、少しずつこれからの方向性を形にしていくことです。
今回のACPカンファレンスを通して、その大切さを改めて実感しました。
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本記事は、安城市を中心に訪問看護サービスを行う「つくし訪問看護ステーション」の看護師が執筆しました!
ACPカンファレンスや在宅支援の取り組みを通じて、地域で安心して暮らせる看護を目指しています。
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地域で安心して暮らせるよう、スタッフ一同「あたたかいケア」でサポートさせていただきます!