高齢化が進む中で、認知症を抱えながら在宅生活を送る方は年々増えています。
一方で、在宅での認知症ケアは、ご本人だけでなくご家族の負担も大きく、「どのタイミングで訪問看護を入れるべきか」を悩むケースも少なくありません。
ケアマネジャーさんや医療関係者の方からは、次のようなご相談をいただくことがあります。
・服薬管理が難しくなってきた
・昼夜逆転など生活リズムの乱れがある
・不安や混乱から行動変化が見られる
・ご家族の介護負担が大きくなっている
在宅では、病院のように医療者が常にそばにいるわけではありません。
だからこそ、日常生活の中での小さな変化に気づき、必要な支援につなげることが大切になります。
本記事では、安城市および周辺地域で訪問看護を行う立場から、認知症ケアにおいて訪問看護を検討するタイミングと実際に行っている支援内容についてお伝えします!
【この記事で分かること】
➀認知症の在宅生活で起こりやすい困りごと
➁訪問看護を検討するタイミングの目安
➂訪問看護でできる認知症ケアの支援内容
➃ACP(人生会議)における訪問看護の関わり
➀在宅で起こりやすい認知症ケアの課題
認知症の方の在宅生活では、次のような困りごとが生じることがあります。
・服薬の飲み忘れや重複服用
・食事や水分摂取の偏り
・昼夜逆転など生活リズムの乱れ
・不安や混乱による行動変化
・ご家族の介護負担の増大
これらの中には、BPSD(認知症に伴う行動・心理症状)と呼ばれる症状も含まれます。
BPSDは認知症があれば必ず起こるものではなく、体調・環境・関わり方などが影響することもあるため、生活全体を見ながら支援することが重要とされています。
例えば、
・不安や焦燥感
・興奮や怒りっぽさ
・落ち着きのなさ
・徘徊
・物忘れに伴う混乱
といった変化が見られることがあります。
こうした症状に対しては、単に症状だけを見るのではなく、生活環境・身体状態・生活リズム・ご家族の関わり方などを含めて捉えることが大切です。
➁訪問看護を検討すべきタイミング
次のような状況が見られる場合は、訪問看護導入を検討する一つの目安になります。
1.服薬管理が難しくなってきたとき
薬の飲み忘れや重複服用が続くと、症状悪化や体調変化につながることがあります。
訪問看護では、
・服薬状況の確認
・ご家族への管理方法の助言
・主治医,薬剤師への情報共有
・本人に合った管理方法の検討
などを行いながら、無理のない服薬支援につなげます。
2.行動や心理面の変化が見られるとき
認知症の進行や生活上のストレス、体調不良などにより、
不安が強くなる
怒りっぽくなる
夜間に落ち着かない
外へ出ようとする
介護拒否が見られる
といった変化が起こることがあります。
訪問看護では、症状だけに注目するのではなく、
・生活環境
・睡眠や食事の状況
・身体症状の有無
・本人の性格やこれまでの生活背景
などを踏まえながら、関係職種と連携して対応を検討します。
3.ご家族の介護負担が大きくなっているとき
認知症ケアでは、ご家族が日常的な支援を担うことが多くなります。
そのため、
・どう対応したらよいか分からない
・介護疲れを感じている
・将来への不安が強い
・このまま在宅生活を続けられるか悩んでいる
といった状態になっている場合も、訪問看護を検討するタイミングです。
訪問看護では、ご本人だけでなく、ご家族が安心して介護を続けられる環境づくりも大切にしています。
4.医療とのつなぎ役が必要になってきたとき
在宅生活では、体調や行動の変化があっても、すぐに受診につながらないことがあります。
そのため、
・最近の変化を医師にどう伝えればよいか分からない
・受診の必要性判断に迷う
・関係職種で情報共有したい
という場面でも、訪問看護が役立つことがあります。
➂訪問看護でできる認知症ケア支援
安城市および周辺地域で、当ステーションでは次のような支援を行っています。
日常生活の困りごとへの対応
・生活状況の観察
・体調や認知面の変化の確認
・本人のペースに合わせた関わり
・生活リズムや環境調整についての助言
認知症ケアでは、できないことだけを見るのではなく、その人らしい生活をどう支えるかという視点がとても大切です。
ご家族への介護支援
ご家族が安心して介護を続けられるよう、
・対応方法の助言
・不安や悩みの相談対応
・介護負担軽減のための提案
・必要時の他職種との連携
などを行っています。
主治医,関係職種との連携
日常の変化を主治医へ共有し、必要に応じて受診や支援内容の見直しを提案します。
また、ケアマネジャー様や関係職種の皆さまと情報共有しながら、在宅生活を支える体制づくりを行います。
※診断や治療の断定は行わず、医師の判断につなぐ役割を大切にしています。
➃ACP(アドバンス・ケア・プランニング)への取り組み
認知症の方の支援では、本人の思いや、これまでどのような人生を歩んできたのかを知ることがとても重要です。
厚生労働省の意思決定支援ガイドラインでも、認知症の方の意思をできる限り丁寧にくみ取り、支えることの重要性が示されています。
しかし、認知症が進行すると、ご本人の気持ちを言葉として聞き取ることが難しい場面もあります。そのため私たちは、ご家族から生活背景を教えていただくことも大切にしています。
当事業所では、安城市が案内している**「わたしノート」を、ACPのきっかけづくりに活用しています。安城市も「わたしノート」を、家族や支援者と一緒に話し合いながら記入する人生会議の第一歩**として紹介しています。
一般的にはエンディングノートとして捉えられることもありますが、私たちはそれだけでなく、
・本人が大切にしてきたこと
・これまでの人生
・これからの暮らしで大切にしたいこと
を一緒に考えるためのツールとして活用しています。
そこで得られた情報は、ケアマネジャー様や関係職種と共有しながら、その人らしい生活を支える支援につなげていきます。
実際のエピソード
ある利用者様は認知症が進行しており、「わたしノート」を使って趣味や目標についてお聞きしても、
「わからんなぁ」
「特に無いよ」
と、お話がそこで終わってしまうことが多くありました。
そこで奥様にお話を伺うと、
・昔は野球を見るのが好きだった
・息子様をよくゲームセンターに連れて行っていた
など、その方が大切にしてきた時間や思い出をたくさん教えてくださいました。
奥様と一緒にわたしノートを進めていく中で、ご本人からも、
・生まれ育った場所のこと
・学生時代の思い出
など、少しずつ昔の出来事を話してくださるようになりました。
時間をかけて進めていくうちに、ノートは半分ほど埋まりました。
それをご家族に見ていただくと、
「私たちの知らないエピソードもあって驚きました」
「こんな思い出があったんですね」
と喜んでくださいました。
このように、認知症ケアでは、今見えている症状だけでなく、その方の人生や大切にしてきたことに触れていく関わりも、とても大切だと感じています。
最後に|その人の人生を大切にした支援を
認知症ケアは、症状への対応だけではありません。
その方がどのような人生を歩み、どのような時間を大切にしてきたのか。
私たちは、そうした生活背景や思いにも目を向けながら支援していきたいと考えています。
安城市および周辺地域で、
・認知症の在宅生活に不安がある
・ご家族の介護負担が大きくなっている
・訪問看護導入のタイミングを相談したい
・今後の生活について関係職種で相談したい
そのような場合は、どうぞお気軽にご相談ください。
ご本人とご家族が安心して生活を続けられるよう、関係職種の皆さまと連携しながら支援していきます。
ご相談・ご依頼について
安城市および周辺地域で、認知症の在宅支援についてお困りの際はお気軽にご相談ください。
訪問看護導入前のご相談や、ケアマネジャー様からの情報共有のみのご連絡でも対応しております。
利用の可否に関わらず、状況整理のご相談だけでも大丈夫です。
「訪問看護が必要か迷っている」段階でも問題ありません。
【つくし訪問看護ステーション】
対応地域:安城市・刈谷市・知立市・岡崎市など

