パーキンソン病と診断されたばかりの頃は、薬も効いているし、普通に歩ける方がほとんどです。
そのため、
「今のところ特に困っていない」
という方も少なくありません。
しかし、パーキンソン病では転倒や歩行障害が目立つ前から、姿勢や歩き方に少しずつ変化が現れます。
だからこそ、症状が軽いうちから運動やリハビリに取り組むことが大切です。
今回は、将来の転倒予防や姿勢の変化を防ぐために知っておきたいポイントを解説します。
この記事は、
・まだ杖を使わずに歩ける方
・転倒したことがない方
・買い物や散歩を楽しめている方
に特に読んでいただきたい内容です。
なぜなら、この時期の過ごし方が数年後の生活に大きく影響するからです。
パーキンソン病では、転倒や歩行障害が目立つ前から少しずつ身体に変化が現れます。
そのため、症状が軽いうちから運動やリハビリに取り組むことが大切だと考えられています。
今回は、パーキンソン病の初期に取り組みたい「姿勢の変化の予防」と「転倒予防」について解説します。
■実は転倒より先に起きている身体の変化があります
転倒したことがない方でも、次のような変化はありませんか?
□ 歩幅が小さくなった
□ 歩く速度が遅くなった
□ 猫背になってきた
□ 腕を振らなくなった
□ 振り向くのが苦手になった
□ 字が小さくなった
これらはパーキンソン病の初期から現れやすい変化です。
多くの方は転倒してから対策を考えます。
しかし実際には、転倒は突然起きるわけではありません。
身体は数年前から少しずつサインを出しています。
そのサインに早く気付き、早めに対策することが将来の生活に大きく影響します。
■パーキンソン病で本当に怖いのは筋力低下だけではありません
パーキンソン病というと、
「筋力が弱って歩けなくなる病気」
というイメージを持たれることがあります。
しかし実際には、特に初期の段階では筋力が比較的保たれている方も少なくありません。
なぜなら、パーキンソン病では「力が出ないこと」よりも、「身体を思った通りに動かしにくくなること」が問題になりやすいからです。
・本人はしっかり歩いているつもりなのに歩幅が小さい。
・本人は真っすぐ立っているつもりなのに前かがみになっている。
・本人は普通に動いているつもりなのに周囲からは動きが小さく見える。
こうした現象はパーキンソン病では珍しくありません。
そのため、筋力だけでなく姿勢や歩き方、バランス能力を維持することが重要になります。
■なぜ姿勢が変わりやすいのか
パーキンソン病では前かがみの姿勢になりやすい特徴があります。
最初は小さな変化です。
・首が少し前に出る。
・背中が少し丸くなる。
・腕の振りが少なくなる。
・歩幅が小さくなる。
こうした変化は少しずつ進むため、本人もご家族も気付きにくいことがあります。
そして怖いのは、その姿勢がいつの間にか「普通の姿勢」になってしまうことです。(実際にスマートフォンで姿勢を撮り、ご本人様に見て頂いた際に「え?こんなに首が前に出ていたの?」を言われた事が何度かあります。)
一度癖になった姿勢を後から修正するのは簡単ではありません。
そのため、姿勢が大きく崩れる前から予防することが大切です。
私たちが訪問の中でよくお伝えするのは、
「悪くなってから戻すより、悪くならないように保つ方がずっと楽ですよ」
ということです。

(パーキンソン病で起こりやすい姿勢の変化)
■歩幅が小さくなる理由
パーキンソン病では歩幅が小さくなりやすいです。
これは足の筋力が弱くなったからとは限りません。
パーキンソン病では、脳が感じている動きの大きさと実際の動きの大きさにズレが生じることがあります。
本人は普通に足を出しているつもりでも、周囲から見ると歩幅が小さい。
本人はしっかり動いているつもりでも、動きが小さく見える。
そのため、
「もっと大きく動きましょう」
と言われても、本人にはピンと来ないことがあります。
だからこそパーキンソン病の運動では、
「実際の動きを動画などで確認し、思っている以上に大きく動くことを意識する」
ことが重要になります。人によっては、120~150%を意識するぐらいが丁度普通の大きさの動きだったりします。
■転倒は結果です。本当の原因はもっと前から始まっています。
転倒というと、
「足腰が弱ったから転ぶ」
と思われることがあります。
もちろん筋力も大切です。
しかしパーキンソン病の転倒では、それだけでは説明できないことも少なくありません。
・歩幅が小さくなる。
・足が上がりにくくなる。
・方向転換が苦手になる。
・前かがみ姿勢になる。
・急いだ時にバランスを崩しやすくなる。
こうした変化が積み重なった結果として転倒が起こります。
つまり転倒は原因ではなく結果なのです。
転倒予防で本当に大切なのは、
転ばない練習をすることではありません。
転びやすい身体にならないようにすることです。
■初期のうちにおすすめしたい運動
① 姿勢を保つ運動
姿勢を保つためには、背中やお尻周りの筋肉を使うこと、ストレッチが大切です。
おすすめは、
・鏡を見ながら姿勢を確認する
・背筋を鍛える運動を行う
・うつ伏せで過ごす時間を5~30分程度作る
・足首を上に反らすストレッチを2分行う
などです。
特別な器具は必要ありません。
大切なのは毎日少しでも続けることです。

■大きく動く習慣
パーキンソン病では知らないうちに動きが小さくなります。
そのため、日常生活の中で「大きく動く」ことを意識することが大切です。
例えば歩く場合、
・大股で踵から
・腕を大きく振る
・胸を張り、前を見ながら歩く
などです。
私たちは利用者様にも、
「少し大げさなくらいがちょうど良いですよ」
とお伝えしています。
先にも書きましたが、本人の感覚では大きすぎるくらいでも、実際にはちょうど良い動きになっていることが少なくありません。

■足の筋力とバランス能力を維持する運動
転倒予防のためには足の筋力やバランス能力も大切です。
おすすめは、
・椅子からの立ち座り30回
・ウォーキング40分週3回
・片脚立ち60秒
などです。
ただし、たくさんやれば良いわけではありません。
疲労や痛みが強くなると運動を継続できなくなります。
大切なのは無理なく続けることです。
「頑張ること」よりも「続けること」の方が重要です。

■週1回のリハビリよりも大切なこと
「リハビリに通えば安心ですか?」
という質問をいただくことがあります。
もちろん専門職によるリハビリは大切です。
しかし、それ以上に重要なのは日々の習慣です。
週1回60分のリハビリだけで身体を変えるのは簡単ではありません。
一方で、毎日10分でも運動を続けることができれば身体への影響は大きくなります。
リハビリは運動をしてもらう場所ではありません。
自宅で続けられる運動や生活の工夫を一緒に考える場所でもあります。
早く始めるほど選択肢は増えます
症状が進行してからリハビリを始めると、
・転倒への不安。
・活動量の低下。
・外出機会の減少。
・体力低下。
など、複数の問題に同時に向き合う必要があります。
一方で、まだ歩ける時期に始めると、
・買い物を続けたい。
・散歩を続けたい。
・旅行に行きたい。
・畑仕事を続けたい。
・趣味を続けたい。
という目標に合わせた予防ができます。
パーキンソン病のリハビリは、ただ筋力をつけるためだけのものではありません。
その人らしい生活を続けるためのものです。
■まとめ|まだ歩ける今だからこそできることがあります
パーキンソン病のリハビリは、歩けなくなってから始めるものではありません。
まだ杖を使わずに歩ける時期だからこそ、
・姿勢の変化を予防する。
・転倒しにくい身体を作る。
・大きく動く習慣を身につける。
・運動を生活の一部にする。
ことが大切です。
私たちは訪問の中で、
「もっと早く運動を始めておけばよかった」
という声を聞くことがあります。
一方で、早い段階から運動習慣を続けている方は、数年後も旅行や趣味、買い物などを楽しみながら生活されていることも少なくありません。
パーキンソン病のリハビリの目的は、病気を治すことではありません。
歩くことそのものが目的でもありません。
・買い物に行くこと。
・友人と会うこと。
・旅行を楽しむこと。
・趣味を続けること。
・その人らしい生活を少しでも長く続けることです。
もし今、
「まだ困っていないから大丈夫」
と思われているのであれば、ぜひ今のうちから運動習慣について考えてみてください。
数年後の自分を守るためにできることは、実は今日から始められます。
最後に
私たちの事業所では、現在ご利用いただいている方の約20%(5人に1人)がパーキンソン病の方
です。
安城市周辺でも、比較的多くのパーキンソン病の方に関わらせていただいている事業所のひとつだと思います。
毎日の訪問の中で、お薬の波による困りごとや、ご家族の戸惑いに数多く関わってきました。
だからこそ、「様子を見ていたら転倒してしまった」「もっと早く相談すればよかった」という地域のみな声が、決して他人事には聞こえません。
日々の症状の変化に伴う困りごとは、ご本人だけでなく、支えるご家族の負担にもつながります。
「まだ大丈夫かな…」という段階でも、早めにご相談いただくことで、これからの生活の見通しが立ちやすくなることがあります。
一人で抱え込まず、まずは気軽にお声がけください。
「訪問看護ってどんな感じなんだろう?」
「少し話を聞いてみたいかも?」
何でも遠慮なくご連絡ください!
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