はじめに
「パーキンソン病です」
そう診断されたとき、多くの方が大きな不安を感じます。
「これからどうなるのだろう」
「歩けなくなるのだろうか」
「仕事や趣味は続けられるのだろうか」
「家族に迷惑をかけてしまうのではないか」
ご本人だけでなく、ご家族も同じような不安を抱えることがあります。
インターネットには様々な情報がありますが、中には必要以上に不安を煽るような内容も少なくありません。
しかし実際には、診断後も仕事や趣味を続けながら、その人らしい生活を送っている方がたくさんいます。
まずは必要以上に恐れすぎず、病気を正しく知ることから始めましょう。
今回は、パーキンソン病と診断された方やご家族に向けて、最初に知っておいていただきたい7つの大切なポイントをお伝えします。
① パーキンソン病はすぐに寝たきりになる病気ではありません
診断直後は将来を悲観してしまう方も少なくありません。
しかし現在は、薬やリハビリの進歩により、多くの方が長期間にわたって自分らしい生活を続けています。
実際に、
・仕事を継続している
・趣味を楽しんでいる
・旅行に出かけている
・地域活動に参加している
という方もたくさんいます。
パーキンソン病と診断されたからといって、すぐに生活が大きく変わるわけではありません。
まずは必要以上に悲観しすぎないことも大切です。
② 代表的な症状を知っておきましょう
パーキンソン病というと、「手が震える病気」というイメージを持つ方も多いかもしれません。
しかし実際には、症状はそれだけではありません。
大きく分けると、「運動症状」と「非運動症状」があります。
運動症状
・手足の震え
・動作がゆっくりになる
・筋肉が固くなる(こわばる)
・歩幅が小さくなる
・バランスが悪くなり、転びやすくなる
・声が小さくなる
・表情が乏しくなる
非運動症状
・便秘
・睡眠の問題(不眠や寝言など)
・立ちくらみ
・疲れやすさ
・気分の落ち込み
・不安感
症状の出方や進行のスピードは人それぞれです。
「他の人はこうなのに」と比べる必要はありません。
大切なのは、自分自身の変化を理解しながら生活していくことです。
③ 薬で症状をコントロールできることがあります
パーキンソン病は、脳内で作られる「ドーパミン」という物質が不足することで起こる病気です。
現在の治療薬は、不足したドーパミンを補ったり、その働きを助けたりすることで、症状の改善を目指します。
適切に服薬することで、
・体が動かしやすくなる
・歩きやすくなる
・転びにくくなる
・日常生活を送りやすくなる
といった効果が期待できます。
また、薬はできるだけ決まった時間に飲むことが大切です。
そうすることで、ご自身の症状の変化を把握しやすくなります。
食事や睡眠、疲れ具合、気圧や天候などによっても症状は変化することがあり、自分なりの傾向が分かると日々の生活の工夫にもつながります。
飲み忘れや服薬時間のずれによって、症状が強く出てしまうこともあります。
一方で、病気との付き合いが長くなると、
・薬の効いている時間と効きにくい時間が出てくる
・症状に波が出る
・薬が効き始めるまでに時間がかかる
などの変化が見られることがあります。
「最近歩きにくくなった」「薬が効いていない気がする」「転びやすくなった」などの変化があっても、薬の調整によって改善できる場合があります。
気になる症状や困りごとがあれば、一人で悩まず主治医や担当スタッフに相談しましょう。早めの相談が、今の生活を長く続けるための大切なポイントです。
④ 運動やリハビリは早めに始めることが大切です
パーキンソン病では、
・姿勢が前かがみになる
・歩幅が小さくなる
・動作がゆっくりになる
といった変化が起こりやすくなります。
だからこそ、症状が軽いうちから運動習慣を作ることが大切です。
例えば、
・ウォーキング(大股)
・ストレッチ
・椅子からの立ち座り
・バランス練習
なども立派な運動です。
特別な運動を頑張ることよりも、無理なく続けることが大切です。
症状が進んでから動きを取り戻すのは簡単ではありません。
今できている動きを長く維持するためにも、早めに運動やリハビリを始めることが大切です。
⑤ 「できる日」と「できない日」があります
パーキンソン病の特徴の一つが、症状に波があることです。
昨日は元気に歩けたのに、今日は歩きにくい。
朝は調子が良かったのに、夕方になると動けない。
そんなことも珍しくありません。
また、
「趣味はできるのに家事はできない」
「病院では歩けるのに家では転びそうになる」
ということもあります。
そのため周囲からは、
「やればできるのでは?」
「怠けているのでは?」
と思われてしまうことがあります。
しかし、これは本人の努力不足や気持ちの問題ではありません。
病気や薬の影響によって起こる特徴の一つですし、好きな事をする時はドーパミンが出やすくその時は良く動けるようになる傾向があります。
ご本人も戸惑うことが多いため、ご家族を含めた周囲の理解が大切になります。
⑥ ご家族が知っておきたい関わり方
ご家族だからこそ、心配や応援の気持ちから、
「もっと早く歩いて」
「頑張って」
「昨日はできたでしょ」
と言ってしまうことがあります。
もちろん悪気はありません。
しかし本人は、
「頑張っているのにできない」
「理解してもらえない」
と感じてしまうことがあります。
パーキンソン病では、身体が思うように動かないことがあります。
また、その日の体調や薬の効き方によって調子が変わることも少なくありません。
そのため、
「なぜできないの?」
ではなく、
「今日は調子どう?」
という視点で関わることが大切です。
また、できなくなったことばかりに目を向けるのではなく、
・散歩を続けている
・趣味を楽しんでいる
・家事の一部を続けている
など、できていることにも目を向けると、ご本人の自信や意欲につながります。
⑦ 困る前から相談先を作っておきましょう
多くの方が、
「もっと早く相談しておけばよかった」
と話されます。
症状が進んでからではなく、
・少し歩きにくくなった
・転びそうで不安
・声が小さくなった
・家族の介助方法が分からない
と感じた段階で相談することで、できる対策の幅が広がります。
訪問看護やリハビリでは、
・運動指導
・転倒予防
・生活上のアドバイス
・ご家族への支援
などを受けることができます。
困った時だけでなく、困る前から相談できる場所を作っておくことも大切な準備の一つです。
症状が進んでから動きを取り戻すのは本当に大変なので、予防的に運動しておくことが大事になります。
まとめ
パーキンソン病と診断されると、不安になるのは当然のことです。
しかし現在は、薬やリハビリ、様々な支援サービスを活用しながら、自分らしい生活を続けている方がたくさんいます。
大切なのは、病気を正しく知ること、そして一人で抱え込まないことです。
特にパーキンソン病は、症状が軽いうちからの運動や環境づくりが、将来の生活に大きく影響します。
「まだ困っていないから大丈夫」ではなく、
「今のうちにできる準備を始める」
という視点を持つことが大切です。
ご本人もご家族も、困った時だけでなく困る前から相談先を作りながら、安心して生活を続けていきましょう。
さいごに
パーキンソン病の症状や薬の効果の現れ方は、一人ひとり異なります。そのため、他の方に効果があった方法や薬が、ご自身にも同じように合うとは限りません。
患者会や友人との交流は大切な情報源になりますし、「自分だけではない」と感じられる貴重な機会でもあります。
一方で、治療方針や薬の調整については、他の方の体験談だけで判断せず、主治医と相談しながら進めていくことが大切です。
主治医は、ご本人の症状や生活環境、これまでの経過を踏まえながら治療を考えてくれる大切なパートナーです。
気になることや困りごと、治療に対する不安があれば遠慮なく相談し、ご自身に合った治療や生活の工夫を一緒に見つけていきましょう。
つくし訪問看護ステーション(安城市)
私たちの事業所では、現在ご利用いただいている方の約20%(5人に1人)がパーキンソン病の方
です。
安城市周辺でも、比較的多くのパーキンソン病の方に関わらせていただいている事業所のひとつだと思います。
毎日の訪問の中で、お薬の波による困りごとや、ご家族の戸惑いに数多く関わってきました。
だからこそ、「様子を見ていたら転倒してしまった」「もっと早く相談すればよかった」という地域のみな声が、決して他人事には聞こえません。
日々の症状の変化に伴う困りごとは、ご本人だけでなく、支えるご家族の負担にもつながります。
「まだ大丈夫かな…」という段階でも、早めにご相談いただくことで、これからの生活の見通しが立ちやすくなることがあります。
一人で抱え込まず、まずは気軽にお声がけください。
「訪問看護ってどんな感じなんだろう?」
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訪問看護を利用する流れ
■介護保険を利用している方
① ケアマネジャーに相談
↓
② 主治医へ相談・訪問看護指示書の作成依頼(ケアマネジャーが調整することもあります)
↓
③ 訪問看護ステーションを決定
↓
④ 看護・リハビリ開始
■まだ介護保険を利用していない方
① 主治医に相談
↓
② 必要な制度や利用方法について相談(必要に応じて介護保険申請や訪問看護指示書の作成)
↓
③ 訪問看護ステーションへ相談
↓
④ 看護・リハビリ開始
すでにケアマネジャーがいる方は、まずケアマネジャーへ相談しましょう。
まだ介護保険を利用していない方は、主治医やお近くの「地域包括支援センター」へ相談すると、必要な手続きを案内してもらえます。