はじめに
「パーキンソン病です。」
医師からそう伝えられた瞬間、不安や戸惑いを感じた方も多いのではないでしょうか。
「これからどうなるのだろう。」
「仕事や趣味は続けられるのかな。」
「介護が必要になるのかな。」
「利用できる制度はあるのかな。」
診断されたばかりの頃は、分からないことがたくさんあります。
インターネットで調べても、専門用語が多かったり、情報がバラバラだったりして、余計に不安になってしまうことも少なくありません。
この記事でお伝えしたいのは、「すべてを今すぐ覚える必要はない」ということです。
パーキンソン病は、診断されたその日から生活が大きく変わる病気ではありません。
一方で、少しずつ生活の中で困りごとが増えてくることがあります。
だからこそ、困ってから慌てて調べるのではなく、
「こんな制度があるんだ。」
「困ったら相談できる場所があるんだ。」
と知っておくだけでも、これからの安心につながります。
この記事では、パーキンソン病と診断された方やご家族に向けて、介護認定や利用できる制度、訪問看護についてできるだけ分かりやすくご紹介します。
■この記事はこんな方におすすめです
・パーキンソン病と診断されたばかりの方
・ご家族がパーキンソン病と診断された方
・介護認定について知りたい方
・訪問看護がどのようなサービスか知りたい方
・利用できる制度や医療費について知りたい方
・安城市・刈谷市・知立市周辺で相談先を探している方
■この記事で分かること
✓ パーキンソン病で利用できる主な制度
✓ 介護認定を受けられる条件
✓ 介護認定を受けるタイミング
✓ 指定難病(特定医療費助成制度)について
✓ 訪問看護ではどんな支援が受けられるのか
✓ 「まず誰へ相談すればいいか」
■まず知っておいていただきたいこと
制度は、「困ってから利用するもの」ではなく、「困ったときに困らないために知っておくもの」です。
実際には、介護認定や医療費助成などを利用するまでに、申請や手続きが必要になることがあります。
また、ご本人の状態や年齢によって利用できる制度が異なることもあります。
そのため、「まだ早いかな」と思う頃から情報を知っておくことは、決して早すぎることではありません。
■パーキンソン病で利用できる制度は主に4つあります
パーキンソン病では、症状や年齢などに応じて、さまざまな制度を利用できる可能性があります。
まずは、大きく4つあることだけ覚えていただければ十分です。
① 介護保険(介護認定)
② 指定難病(特定医療費助成制度)
③ 高額療養費制度
④ 障害年金(対象となる場合)
どれか一つを利用するのではなく、状況によって組み合わせて利用することもあります。
そのため、「どの制度を利用すればよいのか分からない」という場合は、一人で悩まず専門職へ相談することをおすすめします。
「介護認定とは」や「認定の流れ」を分かりやすくご説明します
■介護認定とは?
介護認定とは、介護保険サービスを利用するために必要となる認定のことです。
認定を受けることで、状態に応じてさまざまな介護サービスを利用できるようになります。
例えば、
・訪問看護
・訪問リハビリ
・訪問介護(ホームヘルパー)
・デイサービス
・福祉用具のレンタル
・住宅改修(手すり設置など)
・ショートステイ
などがあります。
介護認定を受けたからといって、必ずサービスを利用しなければならないわけではありません。
「今後に備えて認定だけ受けておく」という方もいらっしゃいます。
■パーキンソン病も介護認定は受けられる?
結論からお伝えすると、パーキンソン病の方も介護認定を受けられる可能性があります。
介護認定は病名だけで決まるものではありません。
認定では、
・日常生活への影響
・身体機能の状態
・介助が必要な場面
・認知機能や生活能力
などを総合的に確認し、要支援または要介護区分が判定されます。
また、パーキンソン病は介護保険制度の「特定疾病」に含まれています。
そのため、40〜64歳の方でも一定の条件を満たせば介護認定を申請できます。
「まだ65歳じゃないから介護保険は使えない」と思われている方もいらっしゃいますが、パーキンソン病では利用できる場合があります。
■こんな変化があれば、一度相談してみましょう
パーキンソン病では、症状が少しずつ進行したり、薬の効いている時間(ON)と切れている時間(OFF)の影響を受けたりすることで、生活の中の困りごとが増えてくることがあります。
例えば、
・転倒することが増えた
・歩き始めに時間がかかる
・動きが小さくなってきた
・着替えや入浴が大変になってきた
・薬の飲み忘れが増えてきた
・外出する機会が減ってきた
・ご家族の介助時間が増えてきた
このような変化は、「まだ頑張れば何とかなる」と思ってしまうことも少なくありません。
しかし、頑張り続けることと、安心して生活を続けることは別のお話です。
早めに相談することで、転倒予防や生活環境の見直しにつながり、今の生活を長く続けられることもあります。
■介護認定の流れ
介護認定は、次のような流れで進みます。
① 市区町村へ申請
市役所の介護保険窓口で申請します。
本人だけでなく、ご家族や地域包括支援センターなどが手続きをサポートしてくれることもあります。
② 認定調査
調査員がご自宅などを訪問し、生活状況や身体状況を確認します。
③ 主治医意見書
主治医が病状や生活状況について意見書を作成します。
④ 審査・判定
認定調査と主治医意見書をもとに、要支援・要介護区分が決定されます。
⑤ ケアプラン作成・サービス開始
ケアマネジャーなどと相談しながら、その方に合ったサービスを組み合わせて利用していきます。
■認定調査で大切なポイント
パーキンソン病では、「できる日」と「できない日」があることが少なくありません。
そのため、認定調査では調子の良い日だけを基準に伝えてしまうと、普段の生活の大変さが十分に伝わらないことがあります。
認定調査では、
・普段困っていること
・転倒しそうになる場面
・薬が切れた時の様子
・ご家族が介助している内容
などを具体的に伝えることが大切です。
「一人で頑張っていること」ではなく、「実際の生活で困っていること」を伝えるイメージで大丈夫です。
■実は、介護認定を受けることが必ずしも一番良いとは限りません
ここは少し意外に思われるかもしれません。
「パーキンソン病だから介護認定を受けた方がいい」と、一概には言えません。
その理由は、パーキンソン病では介護保険だけでなく、「指定難病(特定医療費助成制度)」など、利用できる制度が複数あるためです。
年齢や病状、利用したいサービスによっては、制度の組み合わせ次第で自己負担額が変わることがあります。
つまり、大切なのは「介護認定を受けること」ではなく、
その方にとって、最も安心して生活できる制度の組み合わせを選ぶことです。
そのため、介護認定を申請する前に、主治医や地域包括支援センター、ケアマネジャー、訪問看護ステーションなどへ相談することをおすすめします。
まだ訪問看護を利用する予定がなくても、お近くの訪問看護ステーションへ電話で相談してみるのも一つの方法です。
制度やサービスについて分かりやすく説明してもらえたり、必要に応じて適切な相談先を案内してもらえたりすることがあります。
制度の選び方によって、自己負担が変わることがあります
■指定難病(特定医療費助成制度)とは?
パーキンソン病では、病状など一定の条件を満たした場合、「指定難病(特定医療費助成制度)」を利用できることがあります。
この制度は、治療を続ける上での医療費の負担を軽減するための制度です。
毎月の医療費に自己負担上限額が設けられるため、長期的な治療を続けやすくなることがあります。
また、条件を満たす場合には、訪問看護も医療保険で利用できるケースがあります。
そのため、年齢や病状、利用するサービスによっては、介護保険だけを利用する場合より自己負担を抑えられることもあります。
一方で、すべての方が対象になるわけではありません。
病状や重症度などによって対象となるかどうかが決まるため、「自分は対象になるのかな?」と思ったら、主治医や専門職へ確認してみましょう。
■医療費が心配な方へ|知っておきたい制度
パーキンソン病では、介護保険以外にも利用できる制度があります。
例えば、
高額療養費制度
医療費が高額になった場合、自己負担額が一定額まで軽減される制度です。
障害年金
病状によって日常生活や仕事に支障が生じた場合には、障害年金の対象となることがあります。
制度は一つだけではありません。
「介護保険」「指定難病」「高額療養費制度」「障害年金」などを、その方の状況に合わせて組み合わせることで、経済的な負担や生活への不安を軽減できる場合があります。
■まず誰に相談すればいい?
「制度がたくさんあって、何から始めればいいのか分からない。」
そんな時は、一人で悩む必要はありません。
まずは次のような相談先があります。
① 主治医
現在の病状や今後の見通し、利用できる制度について相談できます。
② 地域包括支援センター
介護保険や地域で利用できるサービスについて相談できます。
③ ケアマネジャー
介護認定後は、必要なサービスを一緒に考えてくれる心強い存在です。
④ 訪問看護ステーション
「介護認定を受けた方がいいのかな?」
「今の状態で訪問看護は利用できるのかな?」
そんな段階でも相談していただいて大丈夫です。
制度のことだけではなく、生活の中で困っていることも含めて一緒に考えていきます。
■訪問看護は「寝たきりになってから利用するサービス」ではありません
訪問看護と聞くと、「寝たきりになってから利用するもの」
というイメージを持たれている方も少なくありません。
しかし、実際には比較的早い段階から利用される方も多くいらっしゃいます。
例えば、
・体調の確認
・服薬管理
・転倒予防のアドバイス
・リハビリ
・生活上の困りごとの相談
・ご家族への介護方法の助言
など、生活を続けていくための支援を行っています。
「まだ一人で生活できるから利用しない」のではなく、「今の生活を長く続けるために利用する」という考え方もあります。
■つくし訪問看護ステーションで大切にしていること
つくし訪問看護ステーションでは、パーキンソン病をはじめとした神経難病の方への支援に力を入れています。
看護師と理学療法士・作業療法士が連携し、その方の生活や目標に合わせて支援を行っています。
理学療法士の中には、LSVT BIG®関連資格やパーキンソン病療養指導士の資格を取得しているスタッフも在籍しています。
※LSVT BIG®プログラムそのものを提供するものではありません。資格取得を通して得た知識や考え方を、日々の支援に活かしています。
私たちが大切にしているのは、「サービスを利用していただくこと」ではありません。
その方が、その方らしい生活をできるだけ長く続けられること。
そのために、今必要なことは何か、これから必要になることは何かを、ご本人やご家族と一緒に考えることを大切にしています。
診断されたらやることチェックリスト
パーキンソン病と診断されると、不安から「何をしたらいいのか分からない」と感じる方も少なくありません。
そんな時は、まず次のことを確認してみましょう。
□ 主治医から今後の病気の見通しについて説明を受けた
□ リハビリについて相談した
□ 利用できる制度について確認した
□ 指定難病(特定医療費助成制度)の対象になるか確認した
□ 介護認定が必要か相談した
□ 家族と今後の生活について話し合った
□ 困った時に相談できる窓口を確認した
すべてを一度に行う必要はありません。
一つずつ準備していくことで、これからの生活への安心につながります。
■よくある質問
Q. まだ歩けています。介護認定は早すぎますか?
A. 歩ける方でも介護認定を受ける方はいらっしゃいます。転倒予防や将来への備えとして相談されるケースも少なくありません。
Q. 40代でも介護認定は受けられますか?
A. パーキンソン病は介護保険制度の特定疾病に含まれているため、40〜64歳の方でも一定の条件を満たせば申請できます。
Q. 介護認定を受けたら、必ずサービスを利用しなければいけませんか?
A. いいえ。認定だけ受けておき、必要になった時からサービスを利用することもできます。
Q. パーキンソン病と診断されたら、すぐに介護認定を申請した方がいいですか?
A. 一概には言えません。
介護認定を早めに受けておくことで、必要になった時にスムーズに介護サービスを利用できる場合があります。
一方で、パーキンソン病では指定難病(特定医療費助成制度)など、利用できる制度が複数あり、年齢や病状、利用したいサービスによって適した制度の組み合わせは異なります。そのため、「診断されたからすぐ介護認定を申請する」のではなく、主治医や地域包括支援センター、ケアマネジャー、訪問看護ステーションなどへ相談しながら、その方に合った制度を選ぶことをおすすめします。
Q. 指定難病と介護保険は両方利用できますか?
A. 病状や利用するサービスによって異なります。制度を組み合わせて利用することもあるため、主治医やケアマネジャー、訪問看護ステーションなどへご相談ください。
Q. 訪問看護は医師の紹介が必要ですか?
A. 訪問看護を利用するには、主治医が作成する「訪問看護指示書」が必要です。利用を希望される場合は、まず主治医や訪問看護ステーションへご相談ください。
Q. 家族だけでも相談できますか?
A. もちろんです。ご本人だけでなく、ご家族からのご相談も多くいただいています。お気軽にご相談ください。
Q. 相談したら、必ず訪問看護を利用しなければいけませんか?
A. そのようなことはありません。相談だけでも大丈夫です。「今は利用しない」という選択も含めて、一緒に考えていきます。
■最後に
パーキンソン病と診断されると、これからの生活や仕事、ご家族のことなど、さまざまな不安を感じることがあります。
しかし、利用できる制度や支援を知っておくことで、不安を少しずつ安心へ変えていけることもあります。
大切なのは、一人で抱え込まないことです。
制度は複雑で、「自分の場合はどうなるのだろう」と悩むことも少なくありません。
そんな時は、一人で調べ続けるのではなく、主治医や地域包括支援センター、ケアマネジャー、訪問看護ステーションなどへ相談してみてください。
私たちも、「訪問看護を利用するかどうか」ではなく、その方が安心して生活を続けられる方法を一緒に考えたいと思っています。
パーキンソン病と診断されても、一人で向き合う必要はありません。
分からないこと、不安なことがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
つくし訪問看護ステーションでは、安城市・刈谷市・知立市を中心に、パーキンソン病をはじめとした神経難病の方やご家族の在宅生活をサポートしています。
■この記事の監修
この記事は、つくし訪問看護ステーションが、日々の支援経験をもとに作成・監修しています。
私たちは、パーキンソン病をはじめとした神経難病の方やご家族が、
「住み慣れた地域で、その人らしく生活を続けられること」
を大切にしながら、日々の訪問看護・リハビリを行っています。
・パーキンソン病療養指導士 在籍
・LSVT BIG®関連資格取得スタッフ 在籍
・ご利用者様の約4人に1人がパーキンソン病などの「神経難病の方」
・看護師・理学療法士・作業療法士が連携し、一人ひとりの生活に合わせた支援を行っています
つくし訪問看護ステーション
私たちの事業所では、現在ご利用いただいている方の約20%(5人に1人)がパーキンソン病の方
です。
安城市周辺でも、比較的多くのパーキンソン病の方に関わらせていただいている事業所のひとつだと思います。
毎日の訪問の中で、お薬の波による困りごとや、ご家族の戸惑いに数多く関わってきました。
だからこそ、「様子を見ていたら転倒してしまった」「もっと早く相談すればよかった」という地域の皆様の声が、決して他人事には聞こえません。
日々の症状の変化に伴う困りごとは、ご本人だけでなく、支えるご家族の負担にもつながります。
「まだ大丈夫かな…」という段階でも、早めにご相談いただくことで、これからの生活の見通しが立ちやすくなることがあります。
一人で抱え込まず、まずは気軽にお声がけください。
「訪問看護ってどんな感じなんだろう?」
「少し話を聞いてみたいかも?」
何でも遠慮なくご連絡ください!
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