神経難病支援者の会を開催しました|ご本人・ご家族と考える、地域での暮らしと支援

2026年10月1日

先日、神経難病のある方やご家族、医師、医療・介護の支援者が集まり、「神経難病支援者の会」を開催しました。

今回参加された方の疾患は、パーキンソン病、進行性核上性麻痺(PSP)、筋ジストロフィーなど、さまざまです。

この会では、病気について学ぶだけでなく、ご本人やご家族が日々の生活で感じている悩みや不安を共有し、医師や支援者と一緒に考える時間を大切にしています。

「今、何に困っているのか」
「これから、どうしていけばいいのか」

今回も、普段の診察や支援の場面だけではなかなか聞くことのできない、率直な思いや相談が寄せられました。

その中から、特に印象に残ったお話をご紹介します。
※本記事は、当日の内容をもとに要約・編集したものです。発言や相談内容を正確に再現したものではなく、一部表現を変更しています。

1.「できていたこと」を一つずつ諦めていくつらさ
今回、ご家族から次のようなお話がありました。

「まだ〇代と若いのに、できていたことを一つずつやめさせていくのがかわいそう」

神経難病では、病気の進行に伴い、車の運転や外出、仕事、家事など、これまで当たり前にできていたことが難しくなる場合があります。

安全を考えれば、やめた方がよいと分かっていても、ご本人にとっては大切な生活の一部です。

ご家族も、ご本人の希望をできるだけ尊重したい一方で、事故や転倒などの危険を考えると、難しい判断を迫られることがあります。

だからこそ、単に何かを諦めるのではなく、「どうすれば、その人らしい生活をできるだけ長く続けられるか」を一緒に考えていくことが大切です。

できなくなったことだけに目を向けるのではなく、環境を整えたり、福祉用具やサービスを活用したりすることで、続けられることもあります。

ご本人の思いと安全性の両方を大切にしながら、その時々に合った方法を考えていく必要があると改めて感じました。

2.病院だけでは、日々の生活のすべては分からない
医師からは、次のようなお話がありました。

「神経難病は、病院だけではみられない。地域全体で支えていく必要がある」

診察室では、身体の状態や症状の変化を確認することができます。

しかし、短い診察時間だけでは、日々の生活の様子を十分に把握することは難しい場合があります。

例えば、

・家ではどのように移動しているのか
・食事や飲み込みで困っていることはないか
・最近、転倒が増えていないか
・薬の効果が切れたとき、どのような症状が出るのか
・ご家族にどのくらい介護の負担がかかっているのか

こうした生活の中での変化は、実際にご自宅で関わる医療・介護職だからこそ気づけることもあります。

そのため、医師と地域の支援者が情報を共有し、生活全体を見ながら支えていくことが大切です。

また、ご自宅で普段と異なる動きや症状が見られた際には、スマートフォンで動画を撮影し、診察時に医師へ見せることも有効です。

ご本人の前では医師に伝えにくいことがある場合には、受付時などにメモを渡しておく方法もあります。

日々の生活の中で気づいたことを医師に伝える工夫も、よりよい診療につながります。

3.専門医と地域の主治医、二つの視点で支える
神経難病のある方が地域で安心して暮らしていくためには、神経内科などの専門医に加え、日々の体調について相談できる地域の主治医を持つことも一つの方法です。

専門病院には多くの患者さんが通院しており、頻繁に受診することが難しい場合もあります。

一方で、発熱や感染症、食欲の低下など、神経難病以外の身体の問題が起こることもあります。

そのようなとき、身近に相談できる医師がいることは、ご本人やご家族にとって大きな安心につながります。

地域の主治医は、必ずしも神経難病の専門医である必要はありません。

専門医が病気の専門的な診療を担い、地域の主治医が日々の健康管理を支える。

そして、訪問看護やリハビリ、介護サービスなどが連携することで、病院と自宅での生活をつなぐ支援体制をつくることができます。

4.一人暮らしと、遠方に住む家族の不安
今回、一人暮らしや遠方に住むご家族との関係についても相談がありました。

「兄弟が遠くに住んでいて、自分一人で背負っている」
「遠くに住む家族に、どうサポートをお願いしたらいいのか」

神経難病では、病気の進行とともに、日常生活で必要な支援が変化していきます。

しかし、ご家族が遠方に住んでいたり、仕事や家庭の事情があったりして、十分な介護を担うことが難しい場合もあります。

こうした状況では、家族だけで抱え込まず、早い段階から地域の支援につながっておくことが大切です。

症状が軽いうちは、直接的な介助という「手」よりも、誰かが定期的に様子を確認する「目」が必要なこともあります。

訪問看護や訪問介護、通所サービスなどを活用することで、ご本人の生活を支えるとともに、離れて暮らすご家族の安心にもつながります。

また、介護保険などの公的サービスだけでは十分に対応できないこともあります。

医療・介護職だけでなく、近隣の方や地域の見守り活動なども含め、ご本人を孤立させない支援体制を考えていくことが大切です。

5.介護する家族が休むための「レスパイト」
長期間にわたる介護では、ご家族自身が休息を取ることも欠かせません。

今回、介護を続けているご家族からは、次のようなお話がありました。

「年に2回、3週間程度レスパイト入院を利用していて、それがとても助かっている」

レスパイトとは、介護するご家族などが休息を取るために、一時的に入院や施設を利用することです。

神経難病では、介護が長期間にわたることも少なくありません。

介護する方が疲れ切ってしまう前に、こうした仕組みを活用することも大切です。

一方で、入院中に活動量が減少すると、筋力や身体機能が低下してしまう場合もあります。

そのため、必要に応じてリハビリや嚥下評価などを受けられるか、入院中の活動量をどのように維持するかといった点も考慮する必要があります。

ご家族の休息と、ご本人の身体機能や生活の質。その両方を大切にしながら、無理なく介護を続けられる環境を整えていくことが重要です。

6.「食べる楽しみ」をどう支えていくか
パーキンソン病のある方のご家族からは、食事についての相談もありました。

現在はペースト食を食べているものの、食欲は旺盛で、市販のお粥や介護食ではなかなか満足できないとのことでした。

食事は、栄養を摂取するだけでなく、日々の生活の楽しみでもあります。

一方で、神経難病では、病気の進行や体調の変化によって、飲み込む力(嚥下機能)が低下することがあります。

特にパーキンソン病では、その日の体調や薬の効き方などによっても、身体の動きや嚥下状態が変化する場合があります。

また、入院中と退院後では、体調や活動量、生活環境などが異なるため、嚥下状態が変化することもあります。

そのため、一度評価して終わりではなく、ご自宅での食事の様子を確認しながら、必要に応じて嚥下機能を再評価していくことが大切です。

食事の形態や姿勢、食べるタイミングなどについても、医師や言語聴覚士などの専門職と相談しながら、ご本人に合った方法を考えていく必要があります。

なお、食欲があることと、安全に飲み込めることは必ずしも同じではありません。食事形態の変更は、嚥下状態を確認したうえで慎重に行うことが重要です。

こうした継続的な評価の必要性は、歩行などの身体機能についても同様です。

7.「運転をやめてほしい」家族と「まだ運転できる」本人
進行性核上性麻痺(PSP)のある方のご家族からは、自動車の運転について相談がありました。

ご本人は、

「まだ運転できる」
「動けるうちに遠くへ行きたい」

と考えている一方、ご家族から見ると、車線変更が不安定だったり、とっさの状況への対応に不安があったりするとのことでした。

自動車の運転は、単なる移動手段ではありません。

買い物や通院、趣味、友人との交流など、その人の生活や社会とのつながりを支える大切な手段でもあります。

だからこそ、運転をやめるという決断は、ご本人にとって簡単なことではありません。

一方で、神経難病では身体機能だけでなく、認知機能や判断力などが影響する場合もあり、ご本人自身が変化に気づきにくいこともあります。

こうした問題に対しては、単に「運転をやめて」と伝えるだけでなく、誰から、どのように伝えるのかを考えることが大切です。

また、運転をやめた後の移動手段についても、あわせて考えておく必要があります。

必要に応じて、主治医に相談し、運転能力の専門的な評価や運転免許に関する相談窓口を利用することも選択肢となります。

ご本人の希望を尊重しながらも、ご本人や周囲の方の安全を守るために、医師や支援者を交えて考えていくことが重要です。

8.家族も「支援される人」である
今回、特に印象に残った言葉があります。

「家族というと『患者さんを支援する人・介護する人』になってしまう。でも、家族も支援されるべき人だと知ってほしい」

神経難病は、ご本人だけでなく、ご家族の生活にも大きな影響を与えます。

日々の介護や通院の付き添い、仕事との両立、将来への不安など、ご家族が抱える負担は決して小さくありません。

また、ご本人の病状が変化する中で、これまでの生活や役割が少しずつ変わっていくことに、戸惑いや悲しさを感じることもあります。

だからこそ、医療・介護職は、ご本人をどう支えるかだけでなく、ご家族自身が無理なく生活を続けられているかにも目を向ける必要があります。

ご家族は、支援を担う人であると同時に、支援を受ける人でもあります。
困ったときに相談できる場所があること、介護を一時的に休めること、同じような経験をしている人と話せること。

そうした支えがあることも、神経難病のある方とご家族が地域で暮らし続けるために大切だと感じました。

9.神経難病を、地域全体で支える
神経難病では、病気の進行に伴い、症状や日常生活での困りごとが変化していきます。

病院だけでも、ご家族だけでも、訪問看護だけでも、すべてを支えることはできません。

専門医、地域の主治医、訪問看護、リハビリ、介護サービス、そして地域の方々。

それぞれが役割を持ち、情報を共有しながら、ご本人とご家族を支えていくことが大切です。

そして、今回の会を通して、改めて感じたことがあります。

それは、「困ってから支援を探す」のではなく、「困ったときに頼れる人がすでにいる」状態をつくっておくことの大切さです。

今回も、会の終了後には参加者同士で自然と会話が続き、情報交換や交流の時間となりました。

「同じように悩んでいる人がいる」
「相談できる医師や支援者がいる」
「困ったときに頼れる場所がある」

病気について学ぶだけでなく、こうした安心やつながりを感じてもらえることも、この会の大切な役割だと思います。

これからも、神経難病のある方とご家族が、その人らしく、安心して地域で暮らし続けられるよう、医療・介護の専門職や地域の皆さまとともに考え、支え合える場をつくっていきたいと思います。

ご本人も、ご家族も。一人で抱え込まないために



神経難病のある方と、そのご家族が安心して地域で暮らし続けられるように。

私たち、つくし訪問看護ステーションでは、パーキンソン病や進行性核上性麻痺(PSP)、筋ジストロフィーなど、さまざまな神経難病のある方の在宅生活を支援しています。

今回の神経難病支援者の会でも、病気の進行に伴う生活の変化や、食事・運転の悩み、介護するご家族の負担など、さまざまな声をお聞きしました。

神経難病は、ご本人だけでなく、ご家族の生活にも大きな影響を与えます。

だからこそ、私たちはご本人への看護やリハビリだけでなく、ご家族の不安や悩みにも寄り添いながら、医師や地域の支援者と連携することを大切にしています。

「まだ訪問看護を利用するほどではないかも」
「これからの生活が少し不安」
「家族だけで介護を続けられるだろうか」

そんな段階からでも、ご相談いただけます。

「困ってから支援を探す」のではなく、「困ったときに頼れる人がすでにいる」状態をつくっておくこと。

私たちは、そんな地域づくりを目指しています。

ご本人も、ご家族も。一人で抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。

「訪問看護ってどんなことをしてくれるの?」

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ご本人・ご家族からの直接のご相談も大歓迎です!


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